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ITシステムの提供事業者と利用者との間で締結されたSLAを実現するにあたって、キャパシティ管理は非常に重要なプロセスとなります。キャパシティ管理の具体的な手順と設定すべきKPIの例を紹介します。

キャパシティ管理とは

キャパシティ管理とは、SLA(Service Level Agreement)で設定された利用者との合意を実現するために、ITリソースのコストや取得時期、展開などの最適化を目指して計画・調達・配備する活動全般を指します。その一例としては、パフォーマンス管理や需要予測、負荷管理、アプリケーションの見直しなどが挙げられます。また、キャパシティ管理を実施する際は、「常に変動するシステム需要」に対して適切に対応していくことが求められます。

ITサービスマネジメントのベストプラクティスをまとめたフレームワークITIL(Information Technology Infrastructure Library)にも、キャパシティ管理に関する記述があります。ITILによると、キャパシティ管理は、「ITサービス需要の最大値と最小値を予測評価したうえで、SLAで定義したサービスレベル目標を定めるもの」とされています。また、「策定した戦略を実現するためのサービス設計として実施するプロセスのひとつ」とも位置付けられています。

キャパシティ管理の手順

ITサービスを適正なコスト、適正なボリュームで提供していくために、キャパシティ管理は欠くことのできない存在です。実際にキャパシティ管理を実施する際は、「監視」「分析」「計画」「実装」のプロセスを常に繰り返していく必要があります。それぞれについて具体的に見てみましょう。

1. 監視

ITサービスが適正に提供されていることを確認・維持していくために、キャパシティ管理の最初のステップとして実施されるのが監視です。リソースの使用状況やパフォーマンスデータを定常的に監視し、適宜レポーティングしていきます。運用担当者が定期的にシステムにログインして、リソースの使用状況やパフォーマンス状態を手動で記録する監視方法もあります。しかし、手間とコストを考えると、監視ツールを使って自動収集するのが賢明かつ現実的な手法といえるでしょう。

2. 分析

監視のプロセスで収集したデータを分析することで、将来におけるリソースの使用状況やパフォーマンスの傾向などを予測します。適切に分析するには、収集したデータの記録期間を考慮し、各データの最小値/最大値/平均値を把握するなどの予備知識が求められます。これらの予備知識と実際のデータを照らし合わせて分析することで、将来のシステム負荷などを具体的に予測できるようになるのです。リソース不足やパフォーマンス低下に陥ってしまう前に、適切な対策を施すことが可能となります。

ただし、豊富な予備知識を有する人材が必ずしも社内にいるとは限りません。また、ビジネス環境の変化が激しいなか、人力で分析をしているようでは対策を講じるタイミングが遅れてしまう可能性が考えられます。こういった点を考慮すると、分析レポートを自動生成する監視ツールの採用を検討すべきかもしれません。

3. 計画

監視と分析を行った結果、ボトルネックとなるポイントや将来的にキャパシティ不足につながる要素が見つかった場合の対応です。不安要素を解決し、適切なITサービスをいかにして維持・継続するかを検討しなければなりません。また、直近の課題やリスク回避といった視点だけでなく、自社の中長期的な事業戦略をふまえた視点からも検討と評価を進めていく必要があります。以下は、適切なITサービスを維持・継続していくための計画の一例です。

  • 検索速度の高速化
  • 既存システムのチューニング
  • メモリやディスクの増加
  • サーバーの増設

メモリやディスクの増加、サーバーの増設といったリソースの追加を計画する場合は、追加にかかるコストやボリュームが自社の中長期的な戦略と合致しているかを見極めなければなりません。さらに、SLAで締結したサービスレベルをよく確認したうえで、慎重に吟味する必要があります。

4. 実装

策定された計画にもとづいて、ITサービス環境の変更を実施します。このとき、各種設定を新たに変更する場合は、正式な変更管理プロセスにしたがって進めていかなければなりません。ITシステムの環境を変更することで生じるリスク、ユーザーへの影響などを十分に考慮して実装する必要があります。
実装できたら、「ITシステムが期待どおりのサービスレベルを維持できているか」を確かめるために、引き続き監視を続けることも忘れてはいけません。ここで不適切な数値が確認された場合は、システムを切り戻して修正したり、分析・計画をやり直したりしなければならない可能性があります。
キャパシティ管理における実装のプロセスは、提供中のITサービスに対して行われます。そのため、サービスの停止や予期せぬ再起動、設定ミスに伴う想定外の動作、といったリスクがあることを十分に理解したうえで着手しなければなりません。

キャパシティ管理におけるKPIの例

キャパシティ管理を実施する際は、以下の監視対象データに対して、適切なKPIを設定する必要があります。各項目について最小値/最大値/平均値を検討しておくと、分析以降のプロセスをよりきめ細かく実施できるようになります。

  • CPU使用率
  • 実メモリ使用率
  • 仮想メモリ使用率
  • ディスク
  • ネットワークトラフィック
  • サービスへのアクセス数
  • トランザクション応答時間

上記は、ほんの一例です。ビジネスモデルや業種、システムの利用目的に応じて設定すべきKPIは変化します。運用管理者にかかる負荷も考慮しつつ、必要に応じて適宜KPIの見直し、追加・変更をしていく必要があるでしょう。

まとめ:限りある運用管理コストを最大限に生かす

かつてキャパシティ管理は、「ITシステムの新規構築時にのみ、プロセスやKPIを決めるために考慮するテーマ」と考えられてきました。しかし、仮想化技術やクラウド化が進んだ現在では、システムの最適化は「常に考えるべきテーマ」として捉えなければなりません。つまり、従来以上に、キャパシティ管理について綿密に検討していく必要があるのです。

また、ビジネス環境の変化が激しくなっているため、事業ニーズの変化や法改正の影響を受けて、キャパシティの増減が頻発するようになってきています。キャパシティの増減が予測されたら、すぐに適切な対策を実施しなければなりません。キャパシティ管理の重要性は、時代の変化に伴って確実に大きくなってきているといえます。

しかし、運用管理にかけられるコストには限りがあるのも事実です。限りあるコストのもと、SLAを遵守し、変化に柔軟に対応できる高品質なシステムを維持していくには、ツールを使ったシステムの監視が欠かせません。例えば、以下のような監視ツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

OpManager

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NetFlow Analyzer

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