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■「病院内のIT運用を見直して医師や職員の満足度向上へ!」連載記事について

大規模病院のITサービスデスクにおいて運用サポートの経験を持つ専門家が実体験をもとにITサービスマネジメントの改善方法を全5回にわたりご紹介します。ITサービスマネジメントの課題の解決の一助となりましたら幸いです。

前回は病院内のIT部門における「案件の「見える化」の重要性」をテーマに案件管理台帳の作成方法について記載を行いました。IT部門と依頼者、どちらの側面から見ても案件が一覧化されている方が便利であり、情報共有も容易になるという内容でした。

第2回のテーマは病院IT部門が抱える医師や看護師に”言いづらい事”です。

具体的に「言いづらい」とは、発言しづらい・断りづらい等ですが、これを解決していけるよう記載したいと思います。

先ず断りづらい根本理由ですが、「医師からの依頼なので言われた通りにやる」「専門用語が解らないため下手なことを言えない」という理由をよく聞きます。私も最初は知識に自信が全く無かったため、医師に前向きな提案が出来ませんでした。

依頼に対して「回答しづらい」というのは、基本となる運用ルールが定義されていないことにあります。つまり運用ルール(指標)を定義することで、それに準拠した対応を進める事が出来るようになります。

※病院に限ったことではありませんが、決められたルールに固執しすぎると苦情やクレームに発展する可能性が高いため、柔軟な対応が必要です。

案件の納期が迫っている中で、(至急でない)突発の依頼が入ってきた際に、依頼者と調整できる環境をいかに構築出来るかがカギとなります。

■ そもそもなぜ突発での依頼が多いか

第1回にも記述しましたが、医師や看護師は日中時間が取れず、夕方頃から自由に時間が取れるようになるため、その結果夕方からの依頼・至急依頼となってしまうことが多い傾向にあります。

しかしもう一つの要因は「医師や看護師からIT部門側の作業工数が見えていない」事になります。

例として私がいた病院で以下のような依頼が頻発していました。

・・・金曜日の夕方頃

看護師「新しい看護師が病棟に配属されるので、ノートPCを週明けまでに設置してください。」

IT部門「至急で無ければ、今の時間から週明けまでの対応は難しいのですが…」

看護師「何故ですか?パソコンを持っていくだけじゃないんですか?」

IT部門「そのまま移動しても使えないのです。設定その他諸々変えないとでして…」

看護師「じゃぁどうすればいいんですか?来週から新しい人が来ちゃうのですが」

IT&看「・・・」

、、という感じです。

どうすればいいのですかって言われても知らないよ…って思いますよね。

そもそもノートPCを移動する場合に必要な手続きというのは結構面倒なもので、事前準備も含めて情報量を多く必要とします。

  1. ノート端末の設置元は未開封PC?それとも別病棟からの移動?

    未開封PCの場合:端末名・IPアドレスの払出・ADサーバへの登録

    別病棟から移動:移動元+移動先との調整

  2. 有線?無線??

    有線の場合:設置先に電源コンセントやLANポートは足りるか?

    無線の場合:設置先は無線が届くエリアか?新規AP設置が必要か?

  3. プリンタの出力先はどこに?

少なくともこれだけの確認ポイントが発生しますが、ユーザーがそこまでの情報を認知していないケースが殆どです。そのため、IT部門側で発生する作業工数から所要時間をあらかじめ明示しておき、相手側に認識してただくことが必要です。

今回のように新人が入る場合などでも、ノートPCを使えるようにするにはどの程度の時間・期間が必要であるという認識を依頼者側が持つことで、急な申請ではなく事前に申請が来るようになるかもしれません。

■ 所要時間の明示と病院内での合意

病院内の運用に載せる為に合意決定する必要があります。私の場合は院内のシステム会議の場で、先述のノートPC設置のケースを例に内容をお伝えし、至急の申請が立て続けに来ることで、通常の依頼が後回しになってしまうリスクをお伝えしました。もちろん医療関連の各案件におけるプライオリティが一般事務では判断出来ないためです。

所要時間に余裕を持たせるためにも、2週間前までに申請を挙げてもらうように周知したい旨を伝え、会議の場で承認を得ることが出来ました。その後は「端末移動の場合は原則2週間掛かります」という周知文を電子カルテに掲載した上で、病院内の掲示板等に掲示して周知を実施。電話で事前相談を受けた際にも、期間に余裕を持った上で申請を挙げいただくようお伝えして認知活動を行いました。

こうして院内にはPCの手配や移動に関わる所要時間がどの程度掛かるかの認識が広まり、端末移設依頼も計画的に行われるようになりました。

また、この事例をベースに”電子カルテマスタ変更要望”や、”患者用文書作成”などの作業依頼に関しても「原則2週間」という期間が設定されることになりました。※もちろん本当に至急での移設依頼や要望は即時対応しましたが

~まとめ~

【所要時間の明示により期待できる課題解決】

  • 病院内で所要時間を共通認識とすることで、作業日数の”指標”が出来るため、突発依頼の抑制や、他部署との案件競合を防止することが出来る。
  • 所要時間を共通認識とすることで、その他の作業に関する期間設定も合意が得やすくなる。
  • 依頼種別に応じた所要時間一覧表を作れば依頼者が一目で対応日数を把握することが出来る。

第2回は所要時間の明示~運用へのメリットをお伝えしました。

医師や看護師から言われた断りづらい依頼も、依頼種別に応じた所要時間の基準があれば無理難題にも対応が出来ますし、場合によってはお断りする理由になりますからね。IT部門も医師・看護師と同じ病院組織の一部であるということを再認識いただき、協力的かつ前向きな改善へと繋がるきっかけになればと思います。

次回「気が付けば 書類でデスクは 山積みに」

◆筆者紹介

株式会社フェス
宮崎 礼(みやざき れい)

株式会社フェスITSM事業部に所属し、2019年11月よりManageEngineのITSM分野のアンバサダーとして従事。大規模病院のITサービスデスクにおいて運用サポートを経験。10年間で1万5000件を超える案件に対応。電子カルテの問い合わせ窓口や操作研修の実演、端末・プリンタの設置対応をはじめ、カルテのテンプレートを500件以上作成。電子カルテの頻用項目の簡略化による医師の入力負担軽減に加え、後利用・研究に活かせると言った所謂”医療ビッグデータへの活用”に繋がる部分で、多数支援を行った。
院内会議の調整や関係各所との折衝を含め、医師や看護師といった方々と積極的にコミュニケーションを取ることで、院内の負担軽減に繋がるような提案を繰り返し行ってきた。

 


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