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「限りあるコストのなかでシステム全体のパフォーマンスを最大化させたい」といった悩みを抱えているITインフラの運用管理部門や情報システム部門の担当者は多いのではないでしょうか。少ないコストでシステム全体の使用効率を最大化する方法として、コンピュータを仮想化するためのソフトウェア「ハイパーバイザー」の導入が考えられます。
ハイパーバイザーの導入メリットを最大化するには、多様な種類があることを理解したうえで「自社に最適なハイパーバイザーを選択すること」が重要です。本記事ではハイパーバイザーの種類を紹介するとともに、適切な選択によって得られるメリットとデメリットを解説します。
ハイパーバイザーの種類-1(移行方法別)
ハイパーバイザーは、「物理的なマシン」のなかに「仮想的なコンピュータ」(仮想マシン)をつくり出して実行する際に使用します。仮想マシンを作成することによって、同じ物理マシン内で複数の異なるOSを並列に実行できるようになるのです。まずは、移行方法の種類をまとめます。
P2V (Physical to Virtual)
P2VとはPhysical to Virtualの略称で、オンプレミス環境の物理サーバー上で稼働しているシステムを、専用のツールを使って仮想環境上に移行することを指します。P2Vは、物理サーバー上で稼動するOSやアプリケーション、およびこれらの設定情報を、仮想化された別のサーバー上の仮想マシンにまるごと移し替えることができます。
P2Vを実施する理由としてよくあるものは、物理サーバーの老朽化やサーバーの保守期間終了への対応です。物理サーバーのバックアップを取得することで、ディザスタリカバリ(災害に備えたシステムや体制)を実施しようとする場合もあります。また、サーバーリソースの効率的な活用やシステム運用保守コストの削減にもP2Vは有効です。
V2V (Virtual to Virtual)
V2Vとは Virtual to Virtualの略称で、仮想化プラットフォーム間で仮想マシンを移行することです。移行元と異なる種類のハイパーバイザーで構築された環境に移行するケースはV2Vにあたります。V2Vは、コンピュータの仮想化技術に存在する複数のプログラムを統合して一元管理したいときに時に役立ちます。
V2P (Virtual to Physical)
V2PとはVirtual to Physicalの略称で、仮想マシンから物理サーバーへ移行することを指します。
ハイパーバイザーの種類-2(動作環境別)
ハイパーバイザーは、その制御方式に応じて「ホスト型」と「ベアメタル型」の2種類に分類することができます。
ホスト型
システムハードウェア上でプログラムを直接制御するタイプのハイパーバイザーを「ホスト型」といいます。ホスト型のハイパーバイザーはOS上でアプリケーションソフトとして稼働し、そのうえで「さまざまなOSを動作できるようにする」という特長を持っています。ベアメタル型と比べて、導入が比較的容易であることもホスト型の特長です。
ホスト型ハイパーバイザーに分類される代表的な製品は、以下のとおりです。
- VMware社:VMware Server
- Microsoft社:Virtual PC
- Parallels社:Parallels Desktop
ベアメタル型
仮想化環境において、ハードウェアを直接制御するタイプのハイパーバイザーを「ベアメタル型ハイパーバイザー」といいます。ホスト型と比べて処理速度の低下が少ないのが特長です。
ベアメタル型ハイパーバイザーに分類される代表的な製品は、以下のとおりです。
- VMware社:VMware ESX
- Microsoft社:Hyper-V
- XenSource社:Xen
ハイパーバイザーのメリット
自社のシステム要件を満たすハイパーバイザーを適切に選択し、導入・運用することで得られるメリットは、主に次の2点に集約されます。
1. リソースを有効活用できる
プロセッサやメモリ、I/Oリソースを仮想マシン間で共用できるようになるため、システム全体の観点から見て、リソースの使用効率を最適化させることが可能です。また、万が一予期せぬ理由で処理能力が急増した場合も、処理能力を共用しているので柔軟に対応でき、システムを継続して安定稼働させることができます。
2. システム管理にかかるコストを削減できる
ハイパーバイザーを用いてサーバーの仮想化を実現すると、管理するサーバーの台数削減が可能です。サーバーそのものの購入費用はもちろん、設置スペースや使用電力などのコスト削減効果が期待できます。また、仮想化によって論理的リソースを集約できれば、安価なサーバーでも高性能なアプリケーションを稼働させるのに十分なリソースを準備できる場合があります。
ハイパーバイザーのデメリット
その一方で、検討が不十分なままにハイパーバイザーを導入してしまうと、以下のようなデメリットが発生してしまうおそれがあります。主なデメリットとしては、次の2つが挙げられます。
1. 運用コストが割高になる場合がある
サーバー集約によるコスト削減を重視しすぎるあまりに十分な物理リソースを確保できていなかった場合、仮想サーバーのスペックが低くなり、処理能力不足となる可能性もあります。
また、物理サーバーの障害発生リスクを考慮せずに導入してしまうと、万が一、障害が発生したときに対応コストが発生するだけでなく、そのサーバー内にあるすべての仮想環境セキュリティーが侵害されるリスクも考えられます。
2. 仮想化環境を管理するための知識や技術が必要になる
ハイパーバイザーの種類によっては、サーバーおよび仮想化環境の「高度な管理」を実現するツールが標準装備されていない場合があります。また、最新で安全な環境を維持するために頻繁にアップデートを要するものもあり、システム管理者にとって運用負荷が増大することになります。システム構成全体を把握したうえで運用管理していく必要があるため、専門的な知識や技術が必須です。
まとめ:ハイパーバイザーの導入メリットを最大化するには?
ハイパーバイザーの導入メリットを最大化する第一歩は、「どの種類のハイパーバイザーを選べばよいか?」を適切に判断することです。検討が不十分なままハイパーバイザー を選んでしまうと、デメリットが大きくなってしまうので慎重に選ぶ必要があります。ただし、適切な選択には専門的な知識や技術を要するため、さまざまな課題を残したまま導入に踏み切ってしまうケースもあるようです。
こうした事態を回避し、メリットを最大限に享受するための有効な解決策の一つが、ハイパーバイザーや物理ソースのステータスを監視できるツールの導入です。ハイパーバイザーと合わせて、以下のように高度なスキルが不要で低価格で利用できる監視ツールの導入も検討してみてはいかがでしょうか。
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