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これから、インシデント管理ツールを導入する際の工程や費用対効果について解説をしていこうと思います。

ツールの導入を検討されている段階では、判断となる情報の提供を求められたり、導入前後の効果について様々な点で評価を求められたりすることも少なくないかと思います。また、いざツールを導入しようと動き出した時には、導入にかかる準備、導入からその後に発生する費用等、各所を説得するための情報を集めるなど、多くの作業があるかと思われます。

ここでは、導入検討から、導入後の効果に予想される効果の考え方について、それぞれ以下の内容でご案内してまいります。

  • インシデント管理ツール導入のために必要な工程
  • パッケージソフトの導入でツールの運用・保守費が削減されるポイント
  • パッケージソフトの導入による費用対効果について
  • パッケージソフトの導入で業務工数が削減する理由とコストの試算

それぞれの各論に入る前に、インシデント管理ツールが導入される背景と導入する意義について、あらためて振り返ろうと思います。

社員に貸与されている機器について

初めに企業のITサービスがどのような状況に置かれているのか、少し想像してみましょう。これはあくまでも想像したモデルケースになるので、すべてが当てはまるとは言えないかもしれませんが、組織規模や利用されているIT機器のボリュームに違いはあれ、使われている機器の種類や利用している雰囲気についてはそれ程かけ離れてもいないと思います。

すでに、どの企業でも社員に一台ずつPCが貸与されているのはあたりまえで、その他にも通信用のモバイル端末が貸与されていることも珍しくないでしょう。また、営業が外出する際に、見積作成の専用アプリが入っているタブレットを利用していれば、個人のPC、通信用のモバイル、見積もり用タブレットと一人で3端末を利用していることになります。ここまでは、社員個人に貸与されている端末のモデルケースです。

オフィス内で利用されている設備について

次に、社員や場合によっては、社外の来客者も利用する社内設備、ネットワーク機器やサーバー等の機器を考えてみましょう。

フロアには数台のデスクがまとめられた幾つかの島があり、その島ごとにスイッチハブやルーターが設置されています。社員が利用する島から離れた別の区画には、来客時にも利用される会議室が複数室あります。このオフィスでは無線のLANも提供されていて、社員用・来客者が利用するゲスト用と利用される種類を分けているところもあるでしょう。社員や来客者は、これらオフィスに設置されている機器を介して社内のネットワークに接続することができます。オフィスで提供されているネットワークの環境は以上のようになります。

社員はこのネットワークに接続することで、プリンターや共有サーバー、社内イントラで提供されている専用のアプリケーションを利用できる環境が提供されています。

これとは別に、外出先の営業や在宅勤務のケースでは、VPNを利用して社内のネットワークに接続する方法も用意されていることでしょう。このように、営業先から見積もりを作成したり、リモートワークによる勤務形態も増えてきたりすることで、企業のITサービスに接続される環境は複数の手段が用意されていることも珍しくなくなりました。

情シスのヘルプデスクに寄せられるトラブル

このような環境の中では毎日のように「ログインできない」といった問い合わせや、新年度や配属の時期には新しいパソコンの調達申請やアクセス権限の変更申請もあるでしょう。また、頻繁に起こると大変なことではありますが、まれに「ルーターの調子が悪いみたいだけど…」とある島から報告もあります。それほど重大ではないインシデントでも、数が多くなるとそれだけでも結構な業務負荷と工数になる場合もありえます。

多くの社員・クライアントにまで影響範囲を及ぼしそうな「一部のメールが届いていないみたい(送信できていないみたい)」といったインシデントで青ざめた経験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか?また、セキュリティに関わる重大インシデントとしてモバイル端末の紛失といった突発的なイベントも想定されます。

企業活動のインフラとして利用されている様々なITサービスは、複数のサービスが連携することによって正常に動くことができるようになっています。インシデントの影響範囲によってきますが、一つの機器の故障や不具合が、企業活動全体に及ぶ可能性を想定しなければならない状況に置かれているのも当たり前の環境になっています。

普段から当たり前に使っているインターネット、メール、プリンターの利用や勤怠管理の打刻等、企業によって提供されているサービスに違いはあるとは思いますが、ITサービスはインフラとして“普通に機能できる状態”を提供するために、IT資産に対するインシデント管理は重要な活動になります。
また、これらインシデントに対応する業務は、トラブルを解決するためだけに実施されるものでもありません。事業を運営していくうえで、浸透しているITサービスについて、より効率的、効果的に運用できるように改善業務の役割もあります。

現在働いている環境は、体制が変わりながらも長年組織として機能しているところや、立ち上がったばかりの新しい組織だというところもあるでしょう。組織の中で蓄えられてきた運営方法やルール等は各社によって様々な方法や手段がある一方で、組織の歴史や運用規模が違っても、組織活動に必要なIT機器は、その利用方法とそれら機器から派生する課題に大きな違いはないように思われます。

働き方改革やリモートワークの普及だけではなく、組織活動に占めるIT機器の重要性は増すばかりです。社員が働くために会社から提供されているツールがこのような状況になっている以上は、それに合わせた管理の実施も必要になってきます。
>企業活動を支えるインフラが何事もなく運用されていると思われている一方で、ITサービスを利用している個々の社員には、様々なトラブルが発生します。このトラブルの影響範囲は個人だけかもしれませんし、会社全体に影響を及ぼすものもあります。

ある営業社員は、出社の際に自宅に社用携帯を忘れたため、今日外出時に予備の携帯を貸してほしいと要求がありました。
企画部門からは、来週新入社員が入るとのことで、新しいアカウントの作成、貸与物の申請の要求があり、それとは別に人事異動によるアクセス権の変更等…。

また、「パソコンのログインパスワードを忘れた」といった、IT管理者なら誰でも「またか…」と呟きたくなる“些末な問い合わせ”を眺めるのが、定例行事になっている方もいらっしゃるでしょう。 ここでは、インシデント管理の現場で、「ツールを入れたほうが良さそうだな」とか「社内の管理方法を変えたほうが良さそうだな」と思索を巡らしている方を対象に、導入までにかかる作業や、費用対・コストといった、ITSMツールを導入する際に上長やその他の決裁者から要求されるキーワードについて「回答になりそうなポイントがどこにあるのか?何なのか?」のヒントになればと、記載しています。

新しい管理方法の提案や上申、ツール導入の申請を通すために必要になる理由や要件は組織によって(もしかすると人によって)違ってくることもあるとは思いますが、参考としてご覧いただけますと幸いです。

インシデント管理ツール導入の工程や費用対効果について


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