Reading Time: 1 minutes

「トップヒント」は、最新のテクノロジー業界のトレンドを探るコラムです。今週は、クラウドゲームサービスがプレイヤー数を増やすための3つの戦略をご紹介します。

クラウドゲーミングは、PC、ノートパソコン、テレビ、モバイルデバイスなど、どんなデバイスでもオンデマンドでビデオゲームをプレイできる、便利で費用対効果の高いプラットフォームとして登場しました。しかし、現在のところ従来のハードウェアベースのローカルゲームに取って代わるほど普及していないのが現状です。

クラウドゲーミングの利便性やコスト面でのメリットが注目されているにもかかわらず、多くのゲーマーはいまだにPCやゲーム機などのハードウェアを購入し、従来の方法でゲームをプレイしています。では、クラウドゲーミングが広く普及しないのはなぜなのでしょうか?まずは、その仕組みを理解するところから始めましょう。

クラウドゲーミングとは?

クラウドゲーミングとは、クラウド上のサーバーを利用してリモートでビデオゲームをプレイするサービスです。ゲームはサービスプロバイダーの強力なサーバーで処理され、その映像がインターネットを通じてユーザーのデバイスにストリーミング配信されます。ユーザーの入力操作もクラウド上で処理されるため、ローカルでゲームをインストールする必要はありません。

この仕組みにより、高性能なハードウェアを購入せずともゲームを楽しむことが可能になります。必要なのは、クラウドゲームプラットフォームに対応したデバイスと安定したインターネット接続だけです。


クラウドゲーミングの課題

クラウドゲーミングには多くのメリットがあるものの、いくつかの課題が残っています。その最大の問題の一つが「入力遅延」です。クラウドゲーミングはストリーミング技術を利用しているため、多少の遅延が発生するのは避けられません。

シングルプレイヤーゲームでは、わずかな遅延はそれほど問題になりませんが、競争の激しいマルチプレイヤーゲームでは、ほんの少しの遅れが勝敗を左右することもあります。そのため、現状のクラウドゲームは反応速度が求められるゲームには適しておらず、多くのゲームパブリッシャーがクラウドゲームの品質に懸念を持っているのです。

多くのプレーヤーを増やすコツとは

では、クラウドゲーミングサービスの普及を促すために、サービスプロバイダーはどのような戦略を取ればいいのでしょうか。以下に、クラウドゲーミングをより多くのプレイヤーに広めるための3つの鍵となる戦略を紹介します。

1. コストを抑え、手頃な価格で提供する  

ゲーム用ハードウェアの価格は年々高騰しています。例えば、2016年に発売されたNVIDIAのハイエンドグラフィックボードであるGTX 1080 Tiは699ドルでしたが、最新のハイエンドグラフィックボードのRTX 4090は1,599ドルにまで上昇しています。このような高価なハードウェアと比較して、クラウドゲーミングサービスは手頃な価格でプレイできることが強みです。

サービスプロバイダーは、適正なサブスクリプション料金を設定し、コストを抑えながら最新ゲームを楽しめる環境を提供することで、価格面でゲームを諦めていた層を市場に引き込むことができます。

2. パフォーマンス向上への投資  

クラウドゲーミングにおける最大の課題の一つが「レイテンシー(遅延)」です。レイテンシーが高すぎると、シングルプレイヤーゲームでも快適にプレイすることが難しくなります。

この問題を解決するには、高速で信頼性の高いインターネット環境を前提とするだけでなく、ユーザーの近くにエッジサーバーを配置することでネットワーク負荷を軽減するなどの対策が必要です。また、NVIDIAが開発している「Reflex」のような遅延削減技術の導入も、プレイヤーに快適なゲーム体験を提供するための鍵となります。

3. 消費者に優しい運営方針を採用する  

クラウドゲームのプラットフォームが普及するためには、コンテンツの所有権に関する公正な運営方針が求められます。デジタルゲーム配信の分野では、コンテンツの取り扱いについて批判されるケースもあり、例えばソニーは一部の有料コンテンツの配信を停止したことがあります。

クラウドゲームサービスが信頼を得るには、人気のあるPCゲームプラットフォーム「Steam」のように、購入済みのゲームがストアから削除された場合でもユーザーが引き続きプレイできる仕組みを導入することが重要です。また、「Epic Gamesストア」のように定期的なセールや無料ゲームの配布を実施し、新規ユーザーを引き付ける戦略も有効でしょう。

最後に、クラウドゲーミングの未来は明るいのでしょうか。  クラウドゲーミング市場には成功例もあれば、失敗例もあります。Googleの「Stadia」は期待されたものの事業終了となりました。一方で、「GeForce NOW」は世界中でサービスを提供しているわけではないにも関わらず、既に2,300万人のユーザーを獲得しています。

クラウドゲーミングの成功は、サービスプロバイダーがどれだけ魅力的なプラットフォームを構築できるかにかかっています。プレイヤーにとって使いやすく、安定したパフォーマンスと手頃な価格を備えたサービスを提供できれば、クラウドゲーミングの未来は明るいでしょう。

※本記事はグローバル本社のブログ記事を日本語版に修正したものです。
原文はこちらをご参照ください。


フィードバックフォーム

当サイトで検証してほしいこと、記事にしてほしい題材などありましたら、以下のフィードバックフォームよりお気軽にお知らせください。