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「トップヒント」は、最新のテクノロジートレンドを解説するコラムです。今回は、オペレーショナル・テクノロジー(以下、OT)環境をサイバー攻撃から守るための4つの重要な対策を紹介します。
近年、OTは手動プロセスからデジタル化・自動化へと進化し、データ駆動型のシステムが主流になっています。しかし、ITとの統合が進むことで、攻撃対象が広がり、サイバー脅威のリスクも高まっています。
特に、電力網や石油・ガスのパイプライン、製造工場などの重要インフラでは、セキュリティの欠陥が深刻な影響を及ぼす可能性があります。例えば、米国のコロニアルパイプライン攻撃では、OTシステム自体は影響を受けなかったものの、ITシステムの侵害により業務が停止しました。このような事例からも、OT環境のセキュリティ対策が不可欠であることがわかります。
それでは、OT環境を守るための4つの対策を詳しく見ていきましょう。
1. OT環境の可視性を高め、監視を強化する
OT環境のすべてのプロセス、デバイス、ユーザーを監視することで、潜在的な脅威を早期に検出できます。特に、攻撃者がネットワーク内を移動する「横方向の移動(ラテラルムーブメント)」に対抗するためには、包括的なログ管理と異常検知システムの導入が重要です。
また、定期的なセキュリティ評価やペネトレーションテストを実施し、既知の脆弱性を特定・修正することで、OT環境の防御力を高めることができます。
2. 厳格なアクセス制御を実施する
OT環境へのアクセスは、最小限に制限することが重要です。以下の3つのセキュリティアプローチを導入しましょう。
- 最小特権の原則(PoLP):ユーザーやデバイスには、業務に必要な最低限のアクセス権のみを付与する。
- ゼロトラストアプローチ:デフォルトでユーザーやデバイスを信用せず、アクセス要求を継続的に検証する。
- 多要素認証(MFA):アクセス時に複数の認証要素を要求し、不正アクセスを防ぐ。
さらに、定期的なアクセス権の監査を行い、不要な権限を削除することで、セキュリティを強化できます。
3. パッチ管理を徹底する
OTシステムのソフトウェアやファームウェアを定期的に更新し、最新のセキュリティパッチを適用することが不可欠です。
パッチには、セキュリティの脆弱性修正、パフォーマンス向上、新機能の追加などが含まれます。未適用のパッチがあると、攻撃者にとって格好の標的となるため、計画的なパッチ管理プロセスを確立し、システムを常に最新の状態に保ちましょう。
4. ネットワークを分割で管理する
ットワーク分割とは、ネットワークを複数の小さなサブネットワーク(セグメント)に分け、それぞれに独自のセキュリティ設定やアクセス制御を適用する手法です。各サブネットワークは独立して機能し、必要最低限の通信のみを許可することで、セキュリティを強化します。
この方法を採用することで、攻撃者がネットワーク内を移動しながら被害を拡大する「横方向の移動(ラテラルムーブメント)」を効果的に防ぐことができます。仮に1つのセグメントが攻撃を受けたとしても、他のサブネットワークが隔離されているため、被害の拡大を防ぎ、影響を最小限に抑えることが可能です。
OT環境のセキュリティ対策
近年、サイバー攻撃の手法はますます高度化しており、OT環境のセキュリティ対策は企業にとって不可欠な課題となっています。OTネットワークが攻撃を受けると、重要な産業プロセスに深刻な影響を及ぼす可能性があるため、組織は積極的かつ包括的なセキュリティ対策を講じる必要があります。
また、セキュリティ対策を強化するだけでなく、万が一のインシデント発生時に迅速に対応できるよう、強固な復旧計画を策定しておくことも重要です。現代のサイバーセキュリティ環境では、「攻撃を受けるかどうか」ではなく、「いつ攻撃を受けるか」を前提に備えることが求められています。日々のセキュリティ対策を徹底し、リスクを最小限に抑えましょう。
※本記事はグローバル本社のブログ記事を日本語版に修正したものです。
原文はこちらをご参照ください。
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