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インターネットの世界は、中央サーバーに依存する従来型のデータ管理方法に大きく依存しています。しかし、IPFS(InterPlanetary File System)が登場したことで、その考え方を根本から変える可能性が見えてきました。IPFSは、ユーザーが情報を取得・保存する際に、物理的な「場所」ではなく、データそのものを基準とするコンテンツ指向のプロトコルです。
IPFSは2015年、Protocol LabsのJuan Benetによって開発された分散型ファイルシステムです。この仕組みにより、BitTorrentのようにユーザーがコンテンツを保存・共有することが可能になります。従来の中央サーバー型のシステムとは異なり、IPFSは分散型ネットワークで運営されており、データはネットワーク全体に分散して保存されます。

ではなぜIPFSが注目されているのでしょうか。現代の企業は、正確な情報へのアクセスが欠かせません。中央サーバーが故障すると、重要な情報にアクセスできなくなり、業務が滞る可能性があります。また、データが集中化されることで、少数の企業が膨大な個人情報を管理する問題が生じ、プライバシーや監視への懸念も高まります。その解決策として、IPFSの分散型ネットワークが注目されているのです。

 


参考サイト: https://symphony.is/about-us/blog/introduction-to-ipfs

仕組み

IPFSでは、データは小さなブロックに分割され、それぞれが「コンテンツ識別子(CID)」と呼ばれるユニークなIDを持っています。このCIDにより、データは保存場所ではなく、その内容に基づいて検索・取得できます。さらに、大容量データも効率的に管理できる仕組みが整っており、「InterPlanetary Linked Data(IPLD)」を活用してリンクを作成することで、分散ストレージの利便性を高めています。
また、IPFSネットワーク内では、ノードが重要な役割を果たします。各ノードは分散型システムに参加し、データの保存・共有・取得を行う「ピア」として機能します。これにより、中央サーバーがなくても情報にアクセス可能で、堅牢かつ柔軟なシステムを提供します。

 

IPFSでファイルをアップロード・ダウンロードする方法

ファイルをアップロードする手順

IPFSネットワークとやり取りするためには、まずIPFSノードを動かす必要があります。
・IPFSデスクトップアプリをローカルマシンにインストール
・IPFSクライアントのコマンドラインツールをインストール
・パブリックゲートウェイを利用してネットワークにアクセス

IPFSノードが起動すると、簡単な手順でファイルをネットワークに追加でき、アップロードが成功すると、CID(コンテンツ識別子)が発行されます。このCIDは、後でファイルにアクセスする際の鍵となります。

IPFSでは独自のノードや、サードパーティが提供するピン留めサービス(Pinning Service)を使用してファイルを保存できます。CIDを使った分散型データ管理は、従来の中央サーバー方式に比べてアクセス性や検閲耐性が向上します。

ファイルをダウンロードする手順

IPFSからのファイル取得も非常に簡単です。
・パブリックIPFSゲートウェイを利用する
・自分専用のIPFSノードから取得する
・デスクトップアプリケーションを使用する
・サードパーティのピン留めサービスを活用する

ダウンロードの際に重要なのは、ファイルのCIDです。このユニークな識別子を使うことで、ネットワークから必要なデータを効率的に取得できます。

IPFSは、中央サーバーに頼らずにデータを保存・取得できる分散型システムです。ダウンタイムを軽減し、サーバー故障のリスクを最小化し、セキュリティとプライバシーを向上させ、個人情報の集中管理を防ぎます。また透明性とアクセシビリティの向上により、公平な情報共有を可能にします。IPFSは個人や企業だけでなく、業界全体にとっても重要な技術となっています。

世界が分散型モデルへと移行する中、IPFSのようなテクノロジーは、安全で持続可能なインターネット構築に欠かせない存在となります。IPFSを活用することで、情報共有や管理の新たな可能性が開かれ、コラボレーションやイノベーションが促進される未来が期待されます。

※本記事はグローバル本社のブログ記事を日本語版に修正したものです。
原文はこちらをご参照ください。


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