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当連載記事について

当連載記事では、ITIL®の研修を多く手掛ける専門家が、分かり易い口語体でより実際的な観点からITIL®を解説しています。サラッと読みながらもITIL®に基づいた考え方をより実践的なレベルへ落とし込むことができます。また、ITIL®に準拠するための機能を備えたITサービスマネジメントツール「ManageEngine ServiceDesk Plus」を提供するゾーホージャパンより、欄外コラムとしてツールの詳細や関連機能の説明を行います。ITIL®の概念を把握しつつ、ツールを活用した場合のイメージを広げる際の一助となりましたら幸いです。
※ITIL® is a Registered Trade Mark of AXELOS Limited.

 

はじめに

第四回第五回でITサービスの品質とコストについて確認しました。今回はいよいよITサービスを作ることを考えていきたいと思います。

ITサービスを作成するためのステップ

実は、ITサービスについては様々なことを明確にする必要があります。ざっと挙げただけでも、「市場」「顧客」「成果」「サービス(とそれを構成している要素)」「サービス間の関係」「価格」などがあります。ITIL®では、これらを8つのステップで明確にしていきつつ、ITサービスを決めていくんですね。

が、この8つのステップをそのまま書くと抽象的でわかりにくいのです。ただでさえ眠くなる話なのに、本当に寝てしまう。なので、私なりにかみ砕いて説明していきます。

まず、ステップはこちら。

(1)顧客がどのくらいいるか確認する
(2)これらの顧客がやりたいこと(顧客成果)を理解する
(3)顧客がやりたいことを目標として数値化する
(4)その数値を満たすようなITサービスを考える(合わせて既存ITサービスが流用できるか考える)
(5)実際にITサービスを使ってくれそうな顧客がどのくらいいるか確認する
(6)そのサービスによってもたらされる顧客成果が何かを決める
(7)ITサービスを構成するものを特定する
(8)ITサービスの組み合わせを決める

そして最後に価格を決める。

では、これらのステップを説明してくことにします。

8ステップの説明

ステップ1:顧客がどのくらいいるか確認する

これは業界や地理、人口統計や企業関係から確認します。人口統計などの文言でわかると思うのですが、ここで言う「顧客」はかなり広い範囲でとらえます。インターネットが普及している世の中なので地域に依存しないとはいえ、極端に言えば世界中ですからね。かなり範囲は広くなります。

ステップ2:これらの顧客がやりたいこと(顧客成果)を理解する

これは「ITを使って」やりたいことではありません。単純にやりたいことです。例えば「手軽に音楽を聴きたい」とか「自宅で仕事したい」とか、第五回目の記事で記載した例で言えば「携帯電話のマニュアルをわかりやすくしてほしい。(わかりやすい携帯電話のマニュアルが見たい)」とかです。

ステップ3:顧客がやりたいことを目標として数値化する

例えば、手軽に音楽を聴きたいのであれば、「通勤時間中に聴ける“楽曲数”を増やす」という案が挙げられるかもしれませんし、わかりやすい携帯電話のマニュアルが見たいのであれば、「マニュアルを見て理解するのにかかる“時間”を減らす」というニーズが存在するかもしれません。このように「数」や「時間」で数値化します。

ステップ4:その数値を満たすようなITサービスを考える(合わせて既存ITサービスが流用できるか考える)

ここでは、ステップ3で考えた数値が目標になるわけですよね。その目標を目指してサービスを考えます。例えば、

・通勤中に聴ける楽曲数が制限されないよう、インターネットから音楽をダウンロードできるようにする(音楽配信サービス)
・文章だけではなく視覚的に理解できるよう、動画マニュアルを閲覧できるようにする(動画配信サービス)

などです。そしてサービスを考えるときに、既存のITサービスを流用できるかどうかも確認する。既存のITサービスを流用できたら楽ですからね。流用できなければ、新規サービスの開発となるわけです。

ステップ5:実際にITサービスを使ってくれそうな顧客がどのくらいいるか確認する

ここでは、ステップ4で考えたITサービスを実際に使ってくれそうな顧客がどのくらいいるか考えます。というのも、顧客にとっては「わかりやすいマニュアル」が見られればよいので、何も動画にこだわらないからです。場合によっては、動画なんかよりも大きな紙で整理されたマニュアルの方がよいかもしれません。

ということで、顧客成果は何も1つのサービスで満たされるとは限りません。その中で、ステップ4で考えたITサービスを買ってくれる顧客がどのくらいいるか確認するんですね。

ステップ6:そのサービスによってもたらされる顧客成果が何かを決める

例えば、音楽配信サービスであれば、「いつでもどこでも好きな音楽を楽しめること」であり、携帯電話マニュアルの動画配信サービスであれば、「直観的でわかりやすいマニュアルを見ながら素早く理解できること」となります。

ステップ7:ITサービスを構成するものを特定する

次に、ITサービスを構成する要素を特定します。具体的には、「必要な人材」「スキル」「ハードウェア」「ソフトウェア」「お金」などです。そして、ステップ6で特定した「成果」と「ITサービス(およびこれらのITサービスを構成する要素)」を紐づけます。

ステップ8:ITサービスの組み合わせを決める

さらに、ITサービスには複数のITサービスが関わることが多いです。例えば、音楽配信サービスであれば、メインとなる音楽を配信するサービス以外に、課金サービス、認証サービスなども必要でしょう。マニュアルの動画配信サービスであれば、メインの動画配信サービス以外に、動画を作成/編集するサービスが必要かもしれません。というようにITサービスは複数のITサービスがまとまっていることが多いので、そのまとまりを明確にします。

そして、この後にITサービスの売価を決めることになり、これらの活動はすべてサービスストラテジというフェーズで行われることになります。

最後に

本当は今回お話したステップが、サービスストラテジのどのプロセスで行われるのかも解説した方がよいとは思うのですが、かなり複雑になります。概要としてのプロセスの流れは第五回に話しているので、今回は割愛させていただきます。次回はサービスデザインにある保証のプロセスのお話をします。

>>記事一覧:ITの品質向上とコスト削減からとらえたITIL®

執筆者情報

日本クイント株式会社 コンサルタント 吉村友秀(よしむら ともひで)
主要資格:ITIL® エキスパート、公認情報システム監査人(CISA)

 



ServiceDesk Plusのサービス・カタログ管理機能について

連載コラムをご一読頂き、ありがとうございます。ManageEngineでは、ITIL®準拠のためのITSM機能を網羅した「ServiceDesk Plus」というツールを提供しています。

今回の記事では、ITサービスを作成する際のお話が出てきました。ここで作成されたサービスは、その後にITIL®の「サービス・カタログ管理」というプロセスで処理されていくことになります。関連して、ServiceDesk Plusの「サービス・カタログ管理」機能については、第4回記事のコラムでもご紹介しました。

ServiceDesk Plusでは、企業/組織のITサービスを、カテゴリーごとの一覧で管理することができます。前回は、サービスを追加/編集/削除する際の管理画面をご紹介しましたが、今回は登録されたサービス一覧がどのように見えるかをご紹介します。

上図の例だと、「メール」というカテゴリーに含まれる各サービス(「メーリングリストの作成」「メールアカウントの作成」etc.)が右側に一覧表示されています。

これらのサービスは、ユーザが利用するためのリクエストフォームと連動しています。例えば、「メーリングリストの作成」というサービスをクリックし、次のようなフォームを呼び出すことが可能です。

フォームの項目は任意でカスタマイズできる他、ここで送信されたリクエストについては以下のような設定も行えます。

・リクエスト追加時に、特定の担当者へ通知する
・リクエストを処理する担当者を自動で割り当てる
・リクエストを遂行する際の「承認者」を設定する

なお、ITIL®が言うサービス・カタログには、「各サービスのスペック詳細」がまとめられているかと思います。これについて、ServiceDesk Plusの管理画面でも「サービスの名称」と共に「説明書き」を追加することはできますが、メインは「サービス要求管理」を行うためのフォーム設定機能となります。

ですので、スペックの詳細や各サービス間の依存関係などは別の方法でまとめて頂き、それらをサービス要求の受付フォームとしてツール上に反映していくことをメインにご活用頂くのが良いかと思います。

<ツールを触ってみたくなったら>

ServiceDesk Plusは、プログラミングの知識が無くてもカスタマイズや設定が行えるように設計されています。検証用に30日間無料で使える評価版(オンプレミス版/クラウド版の両方)もご用意していますが、そこまで真剣に検証できないという方には「体験デモサイト」がお勧めです。

グローバル共用のデモサイトなので、英語のデモデータが登録されていますが、GUIは日本語として表示されますので、ぜひお試しください。

>>体験デモサイトにログイン(※クリック後、実際のツール画面が開きます)

本日ご紹介した「サービス・カタログ」機能については以下よりご覧頂けます。

その他、下記の情報もぜひご利用ください。

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