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当連載記事について

当連載記事では、ITIL®の研修を多く手掛ける専門家が、分かり易い口語体でより実際的な観点からITIL®を解説しています。サラッと読みながらもITIL®に基づいた考え方をより実践的なレベルへ落とし込むことができます。また、ITIL®に準拠するための機能を備えたITサービスマネジメントツール「ManageEngine ServiceDesk Plus」を提供するゾーホージャパンより、欄外コラムとしてツールの詳細や関連機能の説明を行います。ITIL®の概念を把握しつつ、ツールを活用した場合のイメージを広げる際の一助となりましたら幸いです。
※ITIL® is a Registered Trade Mark of AXELOS Limited.

 

はじめに

前回は、要望や品質が顧客起点であり、サービス・プロバイダは、「顧客からの要望にはできるだけ応えたい」「品質に関してはSLAで合意したものを何とか守りたい」と思うはず、というお話をしました。今回は「そうはいってもサービス・プロバイダにも事情があるんだよ」ということをお話しますね。

サービス・プロバイダはすべての要望をかなえないとならないの?

顧客は、思い付きも含めて自由に要望を伝えてきます。これはサービス・プロバイダにとって非常に良いことです。というのも、顧客といっているのは「事業側にいる人」だからです。この事業側の人は、自分たちの業務を行う上で、何か困ったこと(例えば「携帯電話のマニュアルを作っているけど文字や画像だけだとうまく説明できない」など)があるから、サービス・プロバイダにITで解決できないか相談をしているんです。だから、サービス・プロバイダからすると困っていることに対する解決策(ソリューション)を提示する絶好の機会なのです。

先の例であれば、マニュアルを動画で配信し、ユーザがいつでも好きな時にその動画を見られるようにすることで解決できるかもしれません。上手く行けば動画の配信サービスを立ち上げて顧客にお金を出してもらえるかもしれないということですね。このように顧客から受ける要望や相談はサービス・プロバイダにとってはチャンスです。だから、顧客からの要望にはできるだけ応えてあげた方がいい。

ただ、そうはいっても、サービス・プロバイダも生活がかかっています。すべての要望に対応してあげた挙句、投資額が顧客からもらっている額を上回り、最終的にサービス・プロバイダとして債務超過に陥ってしまうかもしれない。そんなことになったら目も当てられない。だから、サービス・プロバイダも考えないといけないことが2つあります。一つは「自分たちが持っているお金はいくらか?」ということで、もう一つは「新しい動画配信サービスがどれだけ使われるようになるのか?」ということです。

前者については、どれだけ投資できるかということですね。仮に動画配信サービスを導入することになったとしても、動画配信サービスを構築・導入して維持していく費用がなければITサービスは成り立ちません。さっきも言ったように投資しすぎてしまったら自分の組織が潰れてしまいます。なので、ITサービスに必要な費用を確保しなければならない。そこで出てくるのがITサービス「財務管理」プロセス。

このITサービス財務管理プロセスは、前述したようにサービス・プロバイダが財務的に耐えられるか監視します。また、サービスに対しての課金や、料金の徴収も行います。つまり、サービス・プロバイダのお金まわり全般を管理するということです。

次に、後者の「新しい動画配信サービスがどれだけ使われるようになるか?」という点について説明します。もし、たくさん使われるということであれば、単純に考えれば「顧客が必要とするのでお金を出してもらえる」ということになります。しかし逆の場合はどうなるのか。

確かにある顧客が「マニュアルを作っているけど文字や画像だけだとうまく説明できない」ということで困っているかもしれない。それに対して動画配信のサービスは合うのかもしれない。しかし、この顧客一人だけが困っていた場合、動画配信サービスを導入してもどれだけ使われることになるでしょうか?もし、年に3回くらいしか使われないとしたら、動画配信のサービスを立ち上げたところで採算が取れません。サービス・プロバイダが新しいサービスを立ち上げる場合、多数の顧客に購入してもらった方が効率的な訳です。

だから、事業側のある担当者だけが使うのではなく「他の事業部でも使えるのか」とか、あわよくば「社外に提供していけるか」なども考えられたら理想的です。なので、サービスにどれだけの需要があるかを把握する必要が出てきます。

そこで、ITIL®ではサービスストラテジのフェーズに「需要管理」というプロセスを設けました。需要管理はBRMが聞いてきた顧客からの要望(例えば「もっと大きなサイズの動画を送れるメールサービスが欲しいな」という要望)に対して需要がどのくらいあるのかを予測する、という活動を行います。

サービス・プロバイダは、これらの2つのプロセスを通じて需要を予測し、(採算の目途が付いたら)新サービスの構築・導入を行うことを考えるんですね。そうすれば、無駄なサービスに投資することが防げるはず。ひいては、サービス・プロバイダの生活も守られるということですね。

で、あと最後に1つ。ITサービス戦略管理というプロセスがあります。このプロセスは、サービス・プロバイダとしての戦略を管理する活動です。この活動では、サービス・プロバイダとして今後どのようにサービスを提供していくのか、例えば「オンプレミスのシステムは廃止してクラウド化していく」とか「開発方法をウォーターフォール型からDevOps化することで顧客やユーザへの価値提供を効率的に行う」とか、進むべき方向を決定します。そしてその方向と新しく始めるサービスが矛盾しないよう、整合性を保ちます。

だから、例えば「今後うちのサービス・プロバイダは、ITをすべてクラウド化していくんだ!」という戦略を持っていたら、動画配信サービスもクラウド前提で考えないとならないということですね。

最後に

どうでしょう?システム部門の課長/リーダークラスになるとIT-ROIなども意識することが多いかと思います。今回はそのあたりに近い内容になっていたかもしれせん。

>>記事一覧:ITの品質向上とコスト削減からとらえたITIL®

執筆者情報

日本クイント株式会社 コンサルタント 吉村友秀(よしむら ともひで)
主要資格:ITIL® エキスパート、公認情報システム監査人(CISA)

 



ServiceDesk Plusを用いた場合のコスト削減について

連載コラムをご一読頂き、ありがとうございます。ManageEngineでは、ITIL®準拠のためのITSM機能を網羅した「ServiceDesk Plus」というツールを提供しています。

今回、記事の中では「財務管理」や「需要管理」といったプロセスなど、ROI(投資対効果)に関するトピックが語られていました。また、「戦略管理」というプロセスも紹介され、例として「ITをすべてクラウド化していく」という方針を掲げた場合が紹介されていましたね。余談ですが、ServiceDesk Plusはオンプレミス版/クラウド版の双方を提供しているので、システム部門の戦略が揺れている場合でも検討し易いITSMツールとなります。

さて、ROIと言えば、ITSMの最適化を目指し、「ツール導入(あるいはツールコスト削減)」を検討されているご担当者様であれば、稟議申請の際に必ず説明が必要になる事項ではないでしょうか。

今回のコラムでは、ITIL®関連機能からは外れますが、「ServiceDesk Plusを用いた場合のコスト削減」についてご説明します。

<選べるプラン体系>

まず、ServiceDesk Plusの価格は全てWeb上で公開されています。価格ページからも分かるように、最小ライセンスは年間50万円に満たない金額となっています(2018年10月現在)。ITIL®の関連機能が網羅されているエンタープライズ版でも、年間70万円弱というライセンス料です。

また、4年以上ツールを活用する場合は、さらに割安となる永年ライセンスも用意しております。つまり、最初は低位プランの年間ライセンスから利用し、運用が起動に乗ってから徐々にプランのアップグレードや永年ライセンスへの切り替えを行うという「スモールスタート」が行える体系となっているのです。

<簡単なカスタマイズ>

上記に加え、意外とコスト削減に直結しているのが「カスタマイズの簡易さ」です。

例えばサービスデスク部門にツールを導入する場合、「リクエストフォームにこういう項目を追加してほしい」「通知先を変更してほしい」「リクエスト一覧の見え方をカスタマイズしたい」などの細々とした要求は絶えず発生します。細かい変更を含めると、1年以上同じ状態では使えないと考えた方が良いでしょう。

このように、毎年小さなツール改変要望が発生し、その度にベンダーへ開発依頼を行うとどうなるでしょうか。保守/運用費だけでも相当な負担になります。

ServiceDesk Plusであれば、例えば以下画像のようにドラッグ&ドロップの簡単な作業でリクエストフォームのカスタマイズを行えます。

また、通知先の変更やリクエスト一覧画面のカスタマイズなども、プログラミングの知識なくGUI上の操作で行えますので、導入後の細かいメンテナンスはお客様自身で行われるケースが非常に多いです。

<ライセンス料だけ確保すれば良いか?>

「安価なプラン体系でカスタマイズが簡単…」となればライセンス料だけ確保しておけば導入が進みそうです。しかし、(メーカーの立場で言うのも恐縮なのですが)こういった考えで導入を進めて失敗するケースも少なくありません。

・ご担当者様の主業務が忙しくなる度に導入プロジェクトが止まる
・実際の業務と合わない実装をしてしまい、改変コストがかかる
・実装とは関係無いが、他部門との調整がスムーズに進まないために頓挫する

などが、その例です。

このような事態を防ぐためには初期アセスメントが重要で、そのためのITIL®でもあるのですが、いくら頭では理解していても主務を抱えながらプロジェクトの実行までこなすとなると、一筋縄ではいきません。

ですので、中長期的な視点で見ると「しっかりアセスメントができるSIer選定を行い、アセスメント/実装費も確保しておく」ということが近道となる場合もあります。

以下は、ここまでのケースを踏まえた上でのコスト削減イメージです。

なお、図内に示す通り、ツールの普及活動やメンテナンス作業の負荷が導入したご担当者様に集中しないよう、外部のトレーニングなどを活用して属人化を防ぐことも、継続的なツール利用を考える上では有益でしょう。

もちろん、アセスメントから実装、社内普及までを独自にこなすご担当者様もいらっしゃいますが、抱える業務によって事情は異なるかと思います。もし、稟議の際に実装費やトレーニング費を含める必要が出た場合は、ぜひ本日のお話もご参照頂けますと幸いです。

<相談をしたくなったら…>

ManageEngineはメーカーの立場なので実装支援は行っておりませんが、アライアンス先と提携してご提案することは可能です。もし、「何から手を付けていいか分からない」などのお悩みがございましたら、以下もお気軽にご利用ください。

>>【訪問/デモ依頼窓口】ITSMツール 導入課題相談

その他、下記の情報もぜひご利用ください。

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