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当連載記事について

当連載記事では、ITIL®の研修を多く手掛ける専門家が、分かり易い口語体でより実際的な観点からITIL®を解説しています。サラッと読みながらもITIL®に基づいた考え方をより実践的なレベルへ落とし込むことができます。また、ITIL®に準拠するための機能を備えたITサービスマネジメントツール「ManageEngine ServiceDesk Plus」を提供するゾーホージャパンより、欄外コラムとしてツールの詳細や関連機能の説明を行います。ITIL®の概念を把握しつつ、ツールを活用した場合のイメージを広げる際の一助となりましたら幸いです。
※ITIL® is a Registered Trade Mark of AXELOS Limited.

 

はじめに

前回は、「変更管理プロセス」「リリース管理および展開管理プロセス」「サービス資産管理および構成管理プロセス」の説明をいたしました。今回はサービストランジションのフェーズに含まれる「ナレッジ管理」というプロセスのお話になります。

ナレッジ管理は大変

ナレッジ管理という名前なので、「きっと知識を共有するプロセスなのだろう」と想像する方が多いと思います。確かにそうなのですが、では、なぜ知識を共有する必要があるのでしょうか?

ナレッジ管理の目的は以下の4つです。

(1)観点、アイデア、知識などを共有すること
(2)共有する観点、アイデア、知識等を適切な場所と時期に使えるようにすること
(3)これらの共有したものを基に適切に物事の決定(判断)を下せるようにすること
(4)ナレッジの検索性を高めて効率性を改善すること

目的として挙げた(1)と(2)が「知識を共有すること」、(3)と(4)が「知識を共有して行いたいこと」を指します。そして、「(3)と(4)」の目的を実現したいから「(1)と(2)」で共有しましょう、という関係になっています。

ということは、単純にファイルサーバを設置して、そこに各人が持っているファイル類を放り込んだらナレッジ管理かというと、ITIL®ではそれはナレッジ管理とは呼ばない。なぜなら、(3)と(4)の目的で示すように「適切に物事の決定が下せるようになる」わけでもないし、「効率性が改善する」とは思えないからです。では、どのような活動がナレッジ管理になるのか。正直、説明している私も「うわっ、面倒!」と思うくらいの活動なのです…。

まず、ナレッジ管理は、検索性を高めるために「不要な知識などのデータは退けておきなさい」という発想を持っています。「退ける」というのは、「そもそも不要な知識は集めない」「集めた知識などのデータの中に不要なものがあればアーカイブする」ということです。ということはつまりどうすればよいのか?

1つ目の「不要な知識などのデータを集めない」というのは、「集める前に必要な知識、データを洗い出しなさい」ということですね。つまり、「何に使うか」を考えて集めるということです。

2つ目の「不要なものがあればアーカイブする」というのは、「検索されない、検索されても利用されない知識などのデータがあるかどうかを分析しなさい」そして「そういった知識やデータはアーカイブしておきなさい」ということです。こうすれば検索性が上がるという発想です。

とはいえ、いまやビックデータを使ってビジネスする時代ですからね。この発想が現在の考え方にあうのかどうか。何しろ2011年に作成されたプラクティスなので…。

ただ、こうしておけば、適切な知識や情報、データしかナレッジとして残らないので、何かしらの判断や決定を行うときには有効ですよね。なにしろ、利用されているかどうかも日々精査されているのですから、保管しているものの信頼性は非常に高いです。

さらに言えば、検索性を高めて仕事の効率性も上がるので、結果として「生産性が高い=不要な工数が削減されている(つまりコストが抑えられている)」状態を作り出すことができるというわけです。

・信頼性が高い知識/情報/データに基づいた、品質の高い判断や決定がされること
・検索性が高くなることで、無駄なコストが発生しない(かつ、生産性が上がるかもしれない)こと

いずれもITIL®が目指す、ITサービスの品質向上とコストの削減につながりますね。

「ナレッジ管理プロセス」と「リリース管理および展開管理プロセス」の関係

では、なぜそのナレッジ管理プロセスが「サービストランジション」のフェーズにあるのでしょうか?

これには明確な答えがあるわけではありません。ただ、私が想像するに、新しいサービスを追加したり、サービスを変更したりする場合、サービスの使い方をレクチャーしたり、運用方法を引き継いだりする必要が出てきます。これらの活動自体を行うのはリリース管理および展開管理プロセスですが、そのレクチャーで引き継がれる知識、情報、データが存在するわけです。

その知識を使って「リリース管理および展開管理プロセス」がITサービスを展開する。ということは、前提として知識、情報、データを共有しておいてもらう必要がある。あわせて、共有するための仕組みがないとならない。なので、おそらく「リリース管理および展開管理プロセス」が所属する「サービストランジション」に「ナレッジ管理」があるのではないかと推測しています。ただし、あくまでも私の推測に過ぎません。もし確かな情報を持っている方がいたらぜひ共有してください。

最後に

次回は、変更管理プロセスとリリース管理および展開管理プロセスを通じて、本番環境にサービスを移行させた後の話をしていきます。

>>記事一覧:ITの品質向上とコスト削減からとらえたITIL®

執筆者情報

日本クイント株式会社 コンサルタント 吉村友秀(よしむら ともひで)
主要資格:ITIL® エキスパート、公認情報システム監査人(CISA)

 



ServiceDesk Plusのナレッジ管理機能について

連載記事をご一読頂き、ありがとうございます。今回は、記事の中で「ナレッジ管理」というプロセスが出てきました。ServiceDesk Plusには、ITIL®に則ったITサービスマネジメントを行うために、「ナレッジ管理機能」が備わっています。

下画像の、「ソリューション」タブの機能が、このナレッジ管理機能に該当します。

なお、ServiceDesk Plus自体が「サービス要求」や「インシデント/問題」に紐づくチケットを管理してゆくツールなので、ナレッジもこれらのデータと連動しています。例えば、下記のような操作が可能です。

・インシデント対応時にユーザーへ提示した「回答」を、そのままナレッジとして登録
・チケット対応時にナレッジを呼び出し、ユーザーへの回答文として添付

なお、「問題解決のために試したソリューション」や「ソリューションに紐づくインシデント」などは、それぞれの画面から相互に閲覧できます。

【データの検索】

もちろん、ナレッジの管理画面には「検索ボックス」があるので、必要なキーワードを用いて検索することが可能です。また、お問合せに回答する際、関連するソリューションを、キーワードから予測し、自動で推奨するという機能も実装しています。

ナレッジの検索はユーザーもおこなうことが可能です。ナレッジは公開範囲を設定でき、ユーザーは公開されたナレッジをポータルから閲覧・検索し、窓口に問い合わせる前に自己解決を試みることができます。

【不要なデータを集めない工夫】

ServiceDesk Plusへナレッジを登録する際、画面下に「追加」ボタンと「追加/承認」ボタンが表示されます。「追加」ボタンを選択した場合、ナレッジのステータスは「承認待ち」となります。

この機能は、担当者がどんどん不要なナレッジを登録していくことを防止する用途で実装されています。この機能を活用することで、例えば、「チーム内で合意をとった文書だけを正式なナレッジとして蓄積する」といった運用が可能です。この点は、ITIL®が求めるナレッジ管理に役立てられるかもしれませんね。

 

【データのアーカイブについて】

残念ながら、ServiceDesk Plus にはITIL®が求めているように「不要なナレッジを分析してアーカイブする」といった機能は備わっていません。

一方、対応済みの古いチケットを抽出し、アーカイブする機能は備わっているので「チケット情報もナレッジデータに含まれる」と考える場合は、多少は役に立つかもしれません。ただ、このアーカイブ機能は、どちらかというとデータ容量をセーブすることでServiceDesk Plus自身のパフォーマンスを向上させるために利用されるケースが多いです(以下は、ServiceDesk Plusの「リクエストアーカイブ」設定画面です)。

<さらに詳細を知りたい方は…>

今回ご紹介した機能を含め、ServiceDesk Plusについて更なる詳細を知りたくなった方は、ぜひ「訪問説明/デモ」依頼窓口をご利用ください。Webの受付フォームからご入力いただければ、担当者より日程調整のご連絡をさせて頂きます。

>>【訪問/デモ依頼窓口】ITSMツール 導入課題相談

その他、下記の情報もぜひご利用ください。

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