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もはや、社会や企業にとってITは欠かせない存在です。ITは、さまざまな機能やサービスを提供するコンピューター、すなわちサーバーの力によって支えられています。このため、ITをスムーズに機能させるためには、「サーバーが安定稼働していること」が前提なのです。重要な役割を担うサーバーの保守内容と、保守にあたっての注意点、重視すべき点について解説します。

サーバーの保守とは?

サーバーの保守とは、サーバーが安定して稼働できるように監視やメンテナンスを行うことです。常に安定した状態を保ち、監視を怠らないという意味では、保守の仕事は警官や警備員のような側面があるといえるでしょう。その一方で、状況の変化をすばやく読みとり、トラブルが発生した際に適切な行動を選択するという意味で、ストイックなアスリートのような側面もあります。

企業は、サーバーやシステムが常に動作していることを前提に活動しています。そのため、保守の仕事が注目される機会は少ないでしょう。しかし、保守がきちんと行われているからこそ運営を維持できるのも事実であり、サーバーの保守は極めて重要な仕事といえます。

1. 「運用」と「保守」の違い

サーバーを正常に動かすための業務は、多くの場合「運用」と「保守」がセットになっています。一般的には、「システムが停止しないようにすること」が運用、「システムの改修や修理をすること」が保守の区分です。運用は日常業務の要素が大きく、平時は「縁の下の力持ち」としての役割を果たします。一方、保守はバグ修正やハード交換など、トラブル時に活躍するのです。
運用と保守の業務区分は職場によっても異なりますが、同じ担当者が兼任すると、どちらの業務も多忙で責任が重いため、担当者に過度な負担がかかります。その結果、人的リソースの喪失につながったり、対処の遅延が原因で会社全体に損害が出たりするおそれがあります。運用と保守の境界線をはっきりとさせ、管理体制や対処方法を明確化することが安定した保守のポイントです。

2. サーバー保守に必要な知識や資質

データベースサーバー、Webサーバー、アプリケーションサーバー、ファイルサーバーなど、サーバーの種類は多岐にわたります。どのサーバーを保守するにしても、OSやネットワーク、セキュリティの知識が必須です。さらに、アプリケーションサーバーを扱う場合は、システム開発の知識や経験・技術も求められます。最近では、自社にサーバーを置かずにクラウド上のサーバーを利用する選択肢もあるので、クラウドサービスについても学んでおかなければなりません。サーバーの保守は、要求される知識が増え続けていく分野となるため、業務の整理・改善を常に意識できるような環境の構築が望まれます。

サーバー保守で行なうこと

サーバーの保守を怠ると、障害発生時にすべての対応が遅れ、ビジネスチャンスを逃すばかりか、客先や世間の信用を失うことにもつながりかねません。サーバーにまつわる業務のなかで保守は、構築に比べて目立たない印象がありますが、実際には費用面でも対処時間でも比重が大きいといえます。保守体制の整備をないがしろにせず、確立することが重要です。保守の主な作業としては、以下のようなものがあります。

1. システムのアップデートやバージョンアップ

サポート外のバージョンのままシステムを動かしていると、急にシステムが止まってしまったときに対処が困難です。システムが正常に動いていても、旧バージョンのまま放置していると、セキュリティ面でのリスクが高まります。最新バージョンに移行する際は、連動しているシステムや対象OSのチェックなど、注意すべきポイントが数多くあるため、作業が複雑になる場合もあります。

2. 新規プログラムやシステムの導入

システムをより使いやすくし、ユーザーの利便性を高めるために、新たなシステムを検討・導入する作業です。ユーザーが求めている要件を明確にし、限られたリソース内で最適なプログラムやシステムを導入するには、十分な知識が求められます。

3. バグや不具合の原因究明、修正と復旧、障害・故障対応

潜在バグが表面化した場合や、突然の不具合が生じた場合など、予測できない突然のトラブルへの対応です。問題の切り分けを行って原因を探り、バックアップ状況などから復旧の計画を立てるなどの正確かつ早急な対応が要求されます。このため、サーバーやシステム全体に精通している必要があります。精神的・体力的にきつい内容ですが、保守において最も大切な業務のひとつです。

4. メンテナンス

システムダウンが発生するリスクを避けるには、定期的なメンテナンスが欠かせません。ハードウェアのステータス、OSのイベント・各種サービス・アプリケーションのログ、CPUやハードウェア・メモリ、ネットワークの使用率など、メンテナンスには多岐にわたる点検項目があります。加えて、ルーターやUPSなどの機器を使用している場合は、メンテナンスすべき機器の数が増え、管理も複雑化します。このような場合は、ソフトウェアを導入して監視を自動化すると、大きな業務改善につながるでしょう。

5. バックアップの計画とデータの取得

「トラブルが起きないこと」が最も望ましい状況といえますが、残念ながら「絶対に発生させない」ことは不可能といえます。不幸にもトラブルが勃発し、一定の処置を行って復旧させる段階になったときに、バックアップを活用するのは保守担当の大切な仕事です。いざというときにバックアップデータを利用して復旧させるには、それなりの経験値とスキルが必要になります。

サーバー保守の体系

サーバーの保守体系には、「ベンダーとの保守契約」、「問題発生時のスポット保守」、「自社要員での対応」という3つの選択肢があります。

1. ベンダーとの保守契約

サーバーを購入したときに、ベンダーや代理店がすすめてくるのが保守契約です。標準的なサービスは定期点検と障害対応がセットになっており、月額の固定料金制になっているケースが多いようです。障害が起きても専門家が対処してくれるので、もっとも安心できる保守体系といえます。ただし、サーバーを購入と同時に契約する条件である場合が多く、それなりのコストを要するため、予算によっては選択がむずかしい保守体系です。

2. 問題発生時のスポット保守

保守にかける予算が潤沢にない場合や、サーバーの使用年数が一定期間を越えた場合に用いられる保守体系です。障害が起きたときに、そのつど交通費や作業費を支払って保守(復旧)を依頼します。スポット保守1回分の費用は、保守契約をした場合の月額料金の数カ月分にのぼることが多く、緊急性や日程・時間帯によっては費用が膨大になるケースもあります。

3. 自社要員での対応

かつては、自社要員でサーバー保守に対応しているケースも多く見られました。コスト面の問題、サーバーの老朽化により対応してくれるベンダーがいない、といった消極的な理由から自社要員で対応せざるをえないケースもあります。うまく体制を構築できれば、担当者が自社のシステムに精通し、知識が共有されるというメリットもあります。

サーバーの保守体系を選択する際は、保守契約を結ぶのがもっとも安心です。しかし、一定の年数が経つと機器の老朽化により障害が増え、最終的には契約更新ができなくなります。スポット対応を繰り返す場合であっても、最終的には対処できる担当者がいなくなる可能性があります。したがって、長期的にどうするかも視野に入れて保守体制を構築しなければなりません。

昨今、サーバー自体の価格は下落傾向にありますが、人件費は下がりません。そこで、保守契約は最低限に抑えて、スペアパーツやスペアサーバーそのものを自社で用意し、日常的な監視体制を十全にしたうえで、対処方法を確立するという選択肢も有効です。

まとめ:保守を万全にするには平時の監視体制が極めて重要

サーバーの保守は運用と区別がつきにくく、作業が切り分けられていないケースも多く見受けられます。これらの業務を整理しないまま保守をおろそかにしていると、取りかえしのつかない事態に陥る可能性があります。これまで以上にサーバーの保守体制を重視し、担当者にかかる負荷についても配慮しておかなければなりません。例えば、以下のツールを利用すると、ネットワークやサーバー機器、OS、サービスなどを24時間体制で監視できるようになり、担当者の業務負担を軽減できます。保守体制の向上を目指している企業は、検討してみてはいかがでしょうか。

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